あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


会議室に入ると、私の前を歩いていた彼が、クルリと振り返った。

「中田。最近、噂になってると思うが、新規プロジェクトが始まる」

「ああ、もしかして、井上主任がリーダーでするというあの?」

「そうだ。最近新規に取り引きするようになった『starlight』。わかるだろう?」

「何度か商品の発注をしたことがあります」

私の言葉に、井上主任は相変わらず無表情のまま、頷く。
眉は寄せられてないから、別に不機嫌なわけではないらしい。

「今回のプロジェクトではstarlightと共同で新商品を開発することになった。商品はこちら。デザインが向こう担当だ。営業部は両社お互いに協力して宣伝する」

「なるほど」

うちは飲料品を発売する会社だ。
取り引き先は、最近全国に展開を始めたスーパーマーケット。

starlightは今度、自身の会社でデザインしたマスコットキャラクターを使った期間限定商品を作りたいらしい。

その飲み物を今回うちの会社がつくることになったのだ。

「その営業チームの補佐として、君を引き抜きたいのだ」

「…………へ?」

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