あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
私の言葉に、勇輝は口角を上げて微笑みながら、目尻を拭った。
「優しすぎるよ。綾音は」
「……勇輝」
不意に勇輝が頭を下げた。
「こんなこと俺が言う資格ないかもしれないけど」
色素が薄い、染めてもないのに茶色い髪が私のすぐ近くにある。
勇輝が疲れているとき、しんどそうなとき、いつもこの髪に触れてたな。
まるで子供みたいだって私が言うと、勇輝はいつも拗ねた顔して、文句を言って。
そして、いつも元気になってくれたよね。
「……綾音。幸せになってください」