あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


日曜出勤が無事に終わったのは、日がほとんど沈んでしまった頃だった。
冬が近づいてきたから、夕暮れが早い。

「本日はありがとうございました」

取り引き先、『starlight』の社員に頭を下げた。

「こちらこそ、ありがとうございました」

何とか失敗しなくてすんだ。
そのことに、とても安堵する。

私がやったことと言えば、主任の話に合わせて、資料を出したくらいなんだけど。

でも時々、私にも意見を訊かれた。
この商品名はどうだろうか、などといったことを。

今回、担当してくれたのは、噂の女性主任と、彼女の部下である男性だった。

「あの宜しければこのあと、お食事でもいかがですか?」

そう提案してくださったのは、女性主任の平野(ひらの)さんだった。

私は基本的に接待などは嫌いだ。
下手したら、無理に呑まされそうになるからだ。

アルコールアレルギーの私が、お酒を飲むのは危険。
それを何度説明しても、大丈夫だからと何の根拠もない自信で、私にお酒を呑まそうとするひとがいる。

「そうですね。『starlight』さんとはこれからもお付き合いすることになりそうですから」

しかし、接待はなかなか断れるものじゃない。
私は呑めないんだと、主張し続けないと。

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