あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


「中田さんはご結婚されてるんですか?」

橋本さんは、グイグイ訊いてくる。
こういうタイプちょっと苦手。

「……してません」

短めの答えで、どうかこれ以上話しかけないでよ、オーラを出してみたが、効果は皆無。

「じゃあ恋人は??」

無邪気に質問を重ねる橋本さん。
何故か、プライベートのことまで話しかけられる。

「いてません」

言った途端に、橋本さんの目が一瞬、光った。それを見逃さなかった私は、慌てて付け加える。

「今は恋愛なんて、する気ありませんから」

……嘘を吐いた。
友達の元カレとどうにもなりたくない。

「どうしてですか?」

橋本さんは若干頬が赤い。
お酒が回ってきているのかもしれない。

しつこい酔っぱらいほど、面倒なものはないんだけど。

私はげんなりしながら、烏龍茶を一口飲んだ。

< 69 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop