あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
「中田さんはご結婚されてるんですか?」
橋本さんは、グイグイ訊いてくる。
こういうタイプちょっと苦手。
「……してません」
短めの答えで、どうかこれ以上話しかけないでよ、オーラを出してみたが、効果は皆無。
「じゃあ恋人は??」
無邪気に質問を重ねる橋本さん。
何故か、プライベートのことまで話しかけられる。
「いてません」
言った途端に、橋本さんの目が一瞬、光った。それを見逃さなかった私は、慌てて付け加える。
「今は恋愛なんて、する気ありませんから」
……嘘を吐いた。
友達の元カレとどうにもなりたくない。
「どうしてですか?」
橋本さんは若干頬が赤い。
お酒が回ってきているのかもしれない。
しつこい酔っぱらいほど、面倒なものはないんだけど。
私はげんなりしながら、烏龍茶を一口飲んだ。