あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
「今はこの仕事を責任持ってこなすことが最優先ですから」
最もな解答をしておくのが無難だ。
しかし、まぁ、橋本さんはどこか不満そうで。
なんだか、勿体無いなぁなんて、呟きつつ、彼は唐揚げを口に放り込んだ。
「せっかくだし、連絡先ぐらいは交換しません?こうして、会えたのも何かのご縁ですし」
「連絡先なら、先程の名刺に書いていますので、そちらにお掛けください」
「あの番号って、営業部の電話ですよね?俺が聞きたいのは、プライベートの番号なんだけど」
「お断りします」
これって、一応接待のはずだよね?
こんなプライベートな話ってありなの?
隣の席では愛想笑いを続ける主任が、平野さんの話に相槌を打っている。
平野さんは必死さを笑顔の裏に隠して、主任の恋愛事情を聞き出そうとしている。
実はすこし、主任の恋愛事情を知りたかったりする私だが、主任はのらりくらりと話をはぐらかしていた。