あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
「泣いちゃえばいいじゃない!泣いて、縋って、罵ってすればいいじゃない!!なんであんたはそんなにいい子ちゃんなの!」
みのりは焦れたように叫ぶ。
何だか私が怒られてるようで、身体を縮めた。
「……できないよ。ショックだったけど、そんなことしたら、彼が困るだけじゃん?」
きっと、彼は悩んだんだろう。
優柔不断で、優しくて、でも自分に嘘をつけない不器用なひとだから。
私の微笑みをみのりは痛々しそうに見つめる。
「あんたって、お人好し!」
「知ってる。でも、大好きなひとだったから。幸せになってもらいたいじゃん?」
「私はあんたに幸せになってもらいたいの!」
仕事中のクールな表情のおかげで、周りから冷たい人と思われがちなみのり。
だけど、本当は感情豊かで、友達思いで。
こうやって、私の代わりに怒って、必死になってくれる。
そんな友が心強くて、嬉しくて、私は今日精いっぱいの微笑みを浮かべた。
「ありがとう。みのり。私はみのりのおかげで、充分幸せもの」
「でも……」
そのタイミングで待っていたパスタが運ばれてくる。
「いただきまーす!」
私が元気な声を出して、パスタに手を付け始めたので、それ以上、みのりは何も言わなかった。