妖怪なんて見たくない!
まさか。
聞き覚えのある声。
声の聞こえた方へ進んでいくと。
「………………」
静かに、夜の世界に紛れた柊木蘭が立っていた。
「……………妖怪を、殺したの?」
「………なんでてめぇがこんな所にいるんだよ」
私に気付いてすっごく嫌そうな顔をする。
「…………ちゃんと拝んであげなきゃ」
「………………フン」
案外素直に、柊木蘭は私の言葉にしたがって、何もない地面に向かって手を合わせた。
「いつもこういう仕事してるの?」
夜で心が落ち着いてるからか、
意外と普通に、柊木蘭に話しかけられる。
「………ああ。」
柊木蘭も静かに答える。