妖怪なんて見たくない!

「………フン、ブスの経験談なんてアテになるかよ」

と、言うと。


一瞬だけ、あいつが見せた、

あいつじゃない表情が、
なんとなく忘れられない。



「蘭はさぁ、自分を責めすぎだよ」

あの表情でそう言ったあと。




「ねえ、凛ちゃんに起きてほしい?」


当たり前のことを聞いてくる。



そんなの決まってる。

どんなに俺が不思議な力を持ってたって、
凛は目を覚まさなかった。


でも、諦めるわけない。



「起きるなら、起きてもらいてぇに決まってんだろ」




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