妖怪なんて見たくない!
305号室。
「凛っ……………!」
ドアを開けて中に入ると。
「お兄ちゃん」
6年間、目を覚まさなかった凛が、
あの頃のように。
笑顔でベッドに座っていた。
部屋に行った看護師が出て行ったあと。
「凛…………」
「……………聞いたよ、お兄ちゃん。
お父さんとお母さんは、もういないんでしょう?」
強い笑顔ではっきりと、そう聞いてくる凛。
「………ああ、ごめんな。
あの時、俺が…………」
「お兄ちゃんは妖怪に優しくしただけでしょう?」
「…………は?」