妖怪なんて見たくない!
私達に向かってシッシッ、と手を振る牛。
でも。
「去れません。そこ、通して」
私は、蘭と深月くんに妖怪を必要以上に嫌いにさせてしまった道元孝志郎が。
蘭を脅して何年も妖怪を殺させた道元孝志郎という人が。
許せない。
『………小娘。いくらあの神凪黎明と一緒でも、こっちは数もいるし力のある妖怪も多い。
生意気言っていると力づくで返すぞ』
「…………やってみてよ」
私は牛の妖怪を見上げる。
「来るよ、七波ちゃん」
一歩後ろのところで注意する神凪さん。