妖怪なんて見たくない!
「封印の解除?」
「そう。封印の解除。」
ニコニコと私を大きな地下に連れてきた神凪さん。
窓のない、寒くて暗い大きな大きな部屋。
「昔ね。俺のところに、死にそうになりながらやってきた、強い妖怪がいたんだ」
神凪さんは妖怪のことを話すとき、
優しい顔になる。
いつもの胡散臭い笑顔が、嘘みたいに。
「その妖怪は、自分の力が制御できなくて暴れまわってたんだ。
何か悲しいことでもあったんだろうね。
何かがきっかけでそうなったみたい。
で、俺に襲いかかりそうになりながら
途切れ途切れに言ったんだ。
『俺を封印してくれ』って」