妖怪なんて見たくない!
「うわっ!」
ダンッ!、と蘭の手が私の顔のすぐ横の壁に
勢い良く突く。
(これが、壁ドンなのね………)
いつだったか葉月が『イケメンにされるのが乙女の憧れ』って言ってたけど。
葉月さん。
イケメンはイケメンでも、
蘭っていうイケメンの場合、
恐ろしいという感情しかありませんでした…。
「………これは何?」
もちろん蘭は壁ドンなんて少女マンガ語、
知らないんだろうな、なんて思いながら聞く。
「てめえ最近何してんだ」
鋭い目の蘭。
「……は?こうして普通に学校に通ってますけど」
「………チッ」
舌打ち!
至近距離だと怖さ倍増。