妖怪なんて見たくない!


蘭はそう言って、私の顔の両脇にあった手をようやく退けた。



「な、何……急に。心臓に悪いなぁ」


「………おまえ、俺のこと怖いんかよ」


「えっ。普段は普通に怖いよ、アンタ。
無口だしずっとふきげんそうな顔だし。

何考えてるか分かんないし」



即答。


「…………」


蘭は目を細めて私を見てる。


「……でも、蘭が実はすっごい優しいってことは知ってるから」


一応付け足すと。



「…………あっそ」

顔の前に腕を持ってきて顔を隠す。



「あれ、照れてんの?」

「………照れてねーよ」


近付くとちょっと耳が赤くなってるのが見えた。


「うっわー。蘭くんかわいーっ」

ニヤニヤからかうと。



「………っうるせぇ」



あれ?

視界が真っ暗。


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