妖怪なんて見たくない!
「いや、なんでもないよ」
そう言って、にこにこ笑う神凪さん。
私は。
峰葉が元気を取り戻した今。
心配なのは神凪さんだ。
この人は時々、
何かを否定するようなことを言う。
私には分かる気がする。
この人はきっと。
『視える』ってことで嫌な思いをしてきた。
でも、自分を守る方法を教えてくれる人がいなかったんだ。
だから羨ましいと思うものを
否定することでしか、自分を守れない。
私は峰葉と、その方法を見つけたから。
私はあなたを、
暗い闇から引っ張りだしてあげたい。
峰葉が元気になったのに、
ここを去らないのはなんとなく神凪さんが気になってるからだと思う。