妖怪なんて見たくない!


『……俺は昔ひどいことをやったからな』


そうか。
昔、村をひとつ潰しちゃったんだっけ。


「で、でも……! 何百年も前の話でしょ?!」

「俺と深月もそう言った。

だけど、俺たち以外の祓い屋たちが峰葉の討伐に賛成だった」



「………そんなの、まちがってるよ」

『七波……』


「もともと悪いのは、峰葉に寄ってたかって甘えてた人間たちでしょ?」


「人間たち?」

蘭は訝しげに聞き返す。


「そう。峰葉は村のほとんどの人間が妖怪を視える村に住んでたんだ。

村の人たちは峰葉の力で田んぼに水を引いたり火を出したりしてたんだって」


『………その後に酷い干ばつがあってな。

俺の力じゃどうにもならなかったんだ。

だから村人たちは怒って俺のせいにして
きたんだ。


俺は裏切られたっていう怒りで、
自分をコントロールできなかったんだ



…………結局、俺が悪いな』



< 378 / 482 >

この作品をシェア

pagetop