妖怪なんて見たくない!
『始まったわね』
耳を澄ましていた燈桜がゆっくりと瞼を持ち上げる。
かすかだけど、
地鳴りのような振動がある。
『………七波。俺は……』
『まーだ言ってんの峰葉?
なんでいつも強気のくせにこういう時だけ引け腰なのさ』
歩積が呆れたように言う。
『………祓い屋は悪質だ。
どんな手を使うかも分からん』
『大丈夫よ』
燈桜が言う。
『ここには妖怪最強のあなた、峰葉。
それから人間最強の七波がいるわ。
それに、妖怪で強い私と歩積がいる』
にこっ、と花が咲くように笑う燈桜。
「えっ、私人間最強なの?」
『俺も今まで何百年と生きてきたが、
こんなに力を持つ人間は初めてだったぞ』
峰葉が言う。