妖怪なんて見たくない!



私に、峰葉の全体重がかかる。


「峰葉っ!」


峰葉の顔は青ざめている。


峰葉の背中に手を回して、ドロッとした、
ふつうの背中とは違う違和感に気付く。


「………血?」


私の手には、真っ赤な液体がついていた。



「あら、お優しい妖怪」

藤さんの声が聞こえる。


『対妖怪用の矢だ……』

『まずいわ、手当てしないと』


手当て、手当て。

そう、手当てしなきゃいけない。
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