妖怪なんて見たくない!
どれくらい経っただろうか。
峰葉の顔に色が戻り、傷も塞がってきて、
あともう少しだった。
「起きて、起きて、起きて」
ずぅっと。
それだけを唱えていた。
ピクッ……と、峰葉の瞼が動く。
「峰葉?!」
『…………ん、七波………?』
峰葉が、目を開いて。
『…ふふ、なんて顔だ。涙がたくさん落ちてるぞ』
「心配したんだよーーっ」
私は泣き虫『だった』。
『だった』はずなのに。
峰葉の前だと、
どうしてもいつも泣いてしまう。
「あのね、蘭が。
…………蘭がね、助けに来てくれたんだよ」