妖怪なんて見たくない!













痛い、体中が熱い。



でも、そんな場合じゃない。


急に現れた妖怪に向かって、腕を振り上げ、下ろす。


(消えろ!)



妖怪はふっ、と煙を上げて消滅する。




「七波っ!」

『七波!』


蘭が私に駆け寄り、峰葉も私を支える。


「七波、七波……!」


蘭が、ふらついた私を抱き起こしながら。
名前を呼ぶ。


「大、丈夫だから……」



一体、なんの技を使ったの?

こんな苦しい術を、
峰葉に向けようとしたの?


「………何を、しようとしたんですか」


藤さんを見て、はっきりと聞く。


でも、藤さんの顔は。


なぜか少し、青ざめている。

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