妖怪なんて見たくない!
「……妖怪を視る力の強い奴の方が、
術の影響だって受けやすい」
蘭は静かに、呟く。
そう、なんだ。
そんなにやばい、術だったのか。
「それはもう一発、出せるん、ですか?」
私が藤さんに聞くと。
「これは力をかなり使う術だから、
しばらくは使えないわ」
首を振る藤さん。
よかった。
「そう、ですか。
…………じゃあ、藤さんはもう、峰葉を
狙わないでください」
「なっ……!」
「人間の私に当ててしまった責任をとって、
峰葉を狙うのは……やめてください」
私がそう言うと。
「……………」
しばらくの沈黙の後。
「………分かりました」
そう言ってうなだれる藤さん。
「帰れ、ババア」
蘭は藤さんを壁に叩きつけていた力を解いて、藤さんを開放した。