妖怪なんて見たくない!





「私さ、意識を失う直前、思ったことがあるんだ」

「なんだよ」

蘭は優しく尋ねる。



「蘭と、もっと話しておけばよかったって」


「………俺?」



「うん。なんでだろうね。

私、最後に浮かんだの、蘭だったんだ」



ふっ、と私に影が落ちて。



蘭はまた私を。

優しく、強く、抱きしめる。



「……蘭さん?今日は随分と距離が近い…」


なんだか私、
今日の蘭が信じられないんだけど。

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