妖怪なんて見たくない!
「!!」
(殺すつもりだ………!)
ほとんど無意識だった。
私もそばの妖怪たちに向かって手を伸ばし、手に力を込める。
パチン………!
響く、音。
「あ………」
やってしまった、と思った。
ーーーー七波、その力は、人に見せるなーーーー
あの妖怪の声が、私の中で繰り返される。
「……………てめぇ、今何した!」
柊木蘭の声で、現実に引き戻される。
そう。
私はとっさに、柊木蘭が妖怪に向けた、
『視える人間にだけ使える力』を同じ力で
相殺した。