妖怪なんて見たくない!


「ちょっとじっとしてね」

『むむっ?』


その頭の上に手をかざす。


頭のお皿がくっつくところをイメージして
力を注ぎ込む。



すると。


『おおっ!』

「よかった。直ったよ」


お皿は見事くっついた。



『この御恩は二度と忘れませぬ。
一生忘れませぬ。』


「いいっていいって」


『お名前は?』

「折原七波だよ。かっぱさんお名前は?」


『わたくしめはただのかっぱでございます』

名前、ないのか。


まあ、いいか。
今日たまたま会っただけの関係なんだから。


そう思ってその日は手を振り合って別れた。


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