妖怪なんて見たくない!




「いいな、折原さん」

1人ぽつんと立っていた葉折深月は呟く。


『なぜだ?』

深月の背後から声がした。


深月の使役する鬼の妖怪、
霞月(かづき)だ。


すらっとした人間にも見えるけど、
着物を着て、角が生え、耳が少し尖ってるところは、人間に似ても似つかない。



「俺も妖怪を友達だって、堂々と言えるようになりたい」

『………友達のようなものじゃないか』


深月はその妖怪に悲しそうな目を向けながら言う。


「ありがとう、霞月(かづき)」



でも。

もしお互いがそう思えていたとしても。



俺たちは『呪い』で繋がれた、
いびつな関係なんだ。



俺に君の友達になる資格なんて、ない。




どうして俺と蘭はこうなってしまったんだろう?




あの子のような幸福な妖怪とのあり方が、
うらやましい。



< 54 / 482 >

この作品をシェア

pagetop