妖怪なんて見たくない!
「いいな、折原さん」
1人ぽつんと立っていた葉折深月は呟く。
『なぜだ?』
深月の背後から声がした。
深月の使役する鬼の妖怪、
霞月(かづき)だ。
すらっとした人間にも見えるけど、
着物を着て、角が生え、耳が少し尖ってるところは、人間に似ても似つかない。
「俺も妖怪を友達だって、堂々と言えるようになりたい」
『………友達のようなものじゃないか』
深月はその妖怪に悲しそうな目を向けながら言う。
「ありがとう、霞月(かづき)」
でも。
もしお互いがそう思えていたとしても。
俺たちは『呪い』で繋がれた、
いびつな関係なんだ。
俺に君の友達になる資格なんて、ない。
どうして俺と蘭はこうなってしまったんだろう?
あの子のような幸福な妖怪とのあり方が、
うらやましい。