妖怪なんて見たくない!
『あら、目があった』
その女の子は怪しげに微笑む。
私はとっさに、気付かないふりをしてその場を去ろうとしたけど。
『あなた、嘘が下手ね』
「っ?!」
いきなり大きな風が起こって、私の周りを回る。
「やっ……やめて!何するの!」
一生懸命、その妖怪に向かって叫ぶ。
『ねえ、お願いを聞いてくれない…?』
その女の子は、言った。
「お願い………?」
風が、ピタリと止む。
『ちょっとだけ、私のお話相手になってくれない……?』