妖怪なんて見たくない!
どうせ暇だった。
逃げようと思えば力を使って逃げられた。
でも、にこにこしている女の子が、なぜか寂しそうに見えて。
ちょっとだけならいいかな、って思った。
『……あなた、私のことはっきり見えてるのね』
「……うん。」
『こんな人間、久しぶりだわ』
楽しそうに笑う女の子。
私はその子のそばへ行って隣へ座った。
『………近すぎないかしら?』
「え?近い?」
女の子はびっくりしたように言う。
『私のこと、こわくないの?』
「………普通にこわいけど」
と返すと。
『…………変な子』
一瞬だけ、低い声が聞こえた。