妖怪なんて見たくない!
男の子はスタスタと歩いてきて私の前に正座する。
そして。
『ごめんなさいっ!』
私に向かって、頭を下げた。
『僕、毎日ここに来てて、だんだん気付いちゃったんだ。
…………怒り続けるのは、虚しいことだ。
それに君は本当は、僕が怒りを向ける相手じゃない。
僕を封印した奴はもう、何百年も前の人間。
君は僕を助けてくれたのに、ひどいことをしました………!
ごめんなさいっ!』
『………あらあら』
燈桜もびっくりしたみたい。
正直、この男の子が最初は怖かった。
でも、毎日会う度に、本当は何百年もさみしくて、つらい思いしてたんだなって、
すごく感じてたから。
怒りを持つことをやめてくれて、よかったな、って思った。