妖怪なんて見たくない!


とそこで。

「蘭、深月」

後ろの方から、声がした。


その瞬間。

「「!!」」


二人の目つきが突然変わって、
周りの空気がピリピリした。


「どうしてここに?!」

「ちっ、バケモンが」


二人は何やら小声で話し合ったあと。


「ごめん、もう行くね、折原さん」

「あ、うん」


と言ったところで。


「その子は誰だ」

すぐ近くで、さっきの声が聞こえた。


柊木蘭も葉折くんも、ピシ……と固まった。


「………」

その人は黒い着物を来た、短髪の怖い雰囲気の、30代くらいの男の人だった。

私を、その射るような目で見る。

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