恋が叶うなんて思うなよ。【中編・完結】
花は無言で、アイスを朝比奈に差し出す。

「なに?くれるの?」
朝比奈はアイスを、窓越しに受け取る。
なんともいえない沈黙が二人の間で広がった。

「あのさ、吉永さ…」

「花!ここにいたんだ」

低いアルトの声が、朝比奈の言葉をさえぎる。

「鈴木、委員会終わったのか?」

すらりと背の高い、色白の青年が、涼しげな笑顔を二人にむけた。
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