恋が叶うなんて思うなよ。【中編・完結】
詳しいことはわからない。
ただ妹の梓いわく、いつもより遅く帰宅し、婦人警察官に付き添われた、香の姿は無惨なものであったという。

乱れた衣服、土で汚れた身体。
そして、赤く腫れた顔。

気をつかってくれた、警察官が身体にタオルを巻いていてくれたが、その晩、香は一言も語らなかったそうだ。

「申し訳ありません、私たちが気付くのがもう少し早ければ…」

幸か不幸か、犯人はすでに捕まっていた。
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