恋が叶うなんて思うなよ。【中編・完結】
花は、敏感な人であった。
口調はぶっきらぼうだが、朝比奈にいつも気を遣ってくれていた。
部活最中の朝比奈の走りを、不器用な言葉で褒めてくれたり、そっと差し入れをしてくれる時もあった。

そして、いつの間にか、花のいたわりの目が、熱を帯びた苦しげな視線にかわってることに朝比奈は気付いた。

が、気付かないフリをする。

花の隣は居心地がいい。

香の行為は知らない。ただ、朝比奈が香をとても好きなことを知っている。
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