お告げの相手は誰ですか？

「単刀直入に言わせてもらうと…

今まで秘書をやってもらっていた鈴木さんは営業部長に昇進したの。
そして、その後釜に、実は私の弟に来てもらうことになったんだけど・・・」


律はすぐにピンと来た。
噂では、社長の弟がかなりのやり手で社長が成功してきた陰には、その弟の尽力があるということだった。


「そうなんですか…」


律はお告げの相手で新入社員の慎之介との接点がなくなることで、気持ちは落ち込んでいた。


「その弟というのがちょっと変わり者で…
まずは、社会性を持ち合わせていないというか、今まで私の娘の世話をすることにかこつけてずっと家で仕事をしていたんだけど、娘が一年生になることで弟も会社に来させることに決めたというわけで…」



「社長、娘さんがいらしたんですね」


律は清花が離婚して独り身だということは知っていたが、娘がいることは知らなかった。


「そう、可愛いのよ…

いや、それより、律さんにお願いがあって」


律はとてつもなく嫌な予感がした。