お告げの相手は誰ですか?



律は思い出していた。
一人でワインを飲みながら、右京の事ばかり考えていた。


慎之介じゃなくて右京と結ばれたい…
伊集院家の人々を敵に回してもいい。
私は右京の事がこんなにも好きなんだもの…


記憶をなくす前、ずっとそんな事を考えていた。


それで私は右京の事を呼んだんだ…
本能は、右京を恋しがってそして求めている…


律は大粒の涙を何度も落とした。


「泣きたいくらい、俺に会いたかったのか?」


律はしゃくりあげながら大きく頷いた。


「キリン君は?」


律の目からますます涙がこぼれ落ちる。


「右京さんの…いじわる…」


右京もソファから下りて、律を後ろから抱きしめた。


「これからキリン君に会うのは許さない。
律は…
俺のものだから…」


律は振り返って右京に抱きついた。


だめだ…
まだ、ふらふらする…


右京の甘い言葉は残っているワインよりも律を酔わせた。



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