お告げの相手は誰ですか?



「ただいま」


律は玄関に置いている靴を見て意気消沈した。
祖母の貴子が来ている。


「律、どうしたの?
急な外泊なんて珍しいじゃない?」


母の恵美は娘の無事の帰りにホッとしていた。


「ワインを飲みすぎちゃって、久しぶりに酔っ払って、気がついたら社長の家で寝てた」


律はそう言いながらリビングを覗いて見た。
日曜日の昼の三時だというのに、家族全員が揃っている。
律はまた更にゲンナリした。


「ちょっとシャワー浴びてくる。
それで…
その後、大事な話があるから」



「酔っ払って財布失くしました~~だろ?」


弟の亘が冷やかし半分でそう言ったが、律は無視をしてバスルームへ向かった。
貴子と恵美はそんな律の様子をずっと観察していた。

そして、貴子だけは不思議と嫌な予感を拭えずにいた。
律のふさぎ込んだ目に、何かしら大きな決意が見え隠れしていたから…



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