お告げの相手は誰ですか?



律は貴子の言葉に反応を示さなかった。
とにかく自分のペースで話をする。
それが難しい事だと分かっているけれど、それを実行しなければ祖母に負けてしまう。


「急な話なんだけど…

私、結婚することにしたの」



「は??」


まず最初に大きな声を上げたのは父の譲二だった。
その後は誰も何も言わない。


「それでその人が今日の7時に挨拶に来るから」



「はあ~~??」


律はまるで譲二と二人で話をしているようだ。
そう思えるほどに、貴子も恵美も声すらも発しない。


「相手は誰なんだ?」


あ、パパにはお告げの相手の話をしてなかったっけ?
でも、いいや…
だって、お告げの相手じゃないわけだし。


「相手は同じ会社の人…」


そこでやっと貴子が咳払いをして微笑んだ。


「譲二さん、この間、律の夢に出たんだよ。

お告げの相手が…」




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