お告げの相手は誰ですか?



「お告げの相手??」


譲二はいかにもついていけない顔をしている。


「譲二さんだって、私のお告げの相手だったのよ。
ちゃんと私の夢に現れたんだから。」


恵美は寂しそうな目をしているが、それでも喜んでいるのが見てとれる。


「あの、違うの…
私が結婚する人は、お告げの相手じゃない。
お告げの相手じゃない違う人なの…」


一瞬で部屋の中が凍り付いた。
律は祖母達の顔を見ずにペラペラ喋り始めた。


「社長の弟さんで今は第一秘書をしてる人なの。
ゆくゆくは副社長なるみたい。
顔もすごいイケメンだから、きっとママやおばあちゃんも気に入ってくれると思う」


誰も何も言わない。


「そういう事なので、今日はよろしくね」


律は早く自分の部屋に帰りたかった。
でも、すぐに貴子の声が鳴り響いた。


「律、結婚は認めません。
つき合うのなら好きなだけつき合えばいい。
そのうちにその彼とは自然と消滅するんだから」



< 121 / 152 >

この作品をシェア

pagetop