お告げの相手は誰ですか?



律と貴子は、実は性格が似ていた。
律の気が強いところも、祖母譲りだった。


「もう、決めたの。
私はその人と結婚をします。
お告げの相手とかそんなくだらない迷信にとらわれたくないの。

自分の結婚相手くらい自分で決める」


律は祖母に負けないくらいの大きな声でそう言った。


「どうせ別れるんだよ。
だったら最初から結婚なんてしなきゃいいだろ?」



「勝手に決めつけないで。
私と右京さんは何があっても別れないの。

私が幸せになろうが不幸せになろうが関係ないでしょ?」


律は絶対涙は流したくない。
ここで涙を見せることは敗北を意味するから。


「結婚じゃなくまずつき合いから始めなさい」


黙って聞いていた恵美が力強くそう言った。



「今日、挨拶に来て、それが済んだら私達はすぐにでも結婚する」



「その人には会うけど、結婚は断固として認めません」


そう言い切ったのは恵美だった。
娘の幸せを願わない母親はいない。




< 122 / 152 >

この作品をシェア

pagetop