お告げの相手は誰ですか?
右京が律の家の最寄りの駅に着くと、そこには活力を失ったような顔をした律が立っていた。
「迎えに来てくれたのか?
グーグルマップでちゃんと調べたから大丈夫だったのに」
右京が明るくそう言っても、律は中々テンションが上がらない。
律の目はお先真っ暗と訴えている。
「家に着くまでに、右京さんに話しておきたい事があって」
律にとっては苦渋の決断だった。
でも、この伊集院家にまつわるまがまがしいお告げの言い伝えを避けて通ることはできない。
祖母達に聞かされる前に、律の方からちゃんと話しておかなければ、右京は狐につままれた気分になるだろう。
そして、最悪なのは、右京がこの伊集院家も律までも嫌になってしまうことだった。
「時間は大丈夫か?」
右京は、清花から時間厳守と耳にタコができるほど言われていた。
そのため、こんなに早くにこの場所に着いている。
「大丈夫…
歩きながら話すから」