お告げの相手は誰ですか?
右京はただでさえ緊張しているのに、律のこの凹んだ表情はますます右京の心臓を縮こまらせた。
「右京さん、一つだけ約束して。
今から私が話す事を遠い国のおとぎ話として聞いてほしいの」
遠い国のおとぎ話??
こんな状況で??
「そしてこれだけは分かってほしい。
私自身もその話を信じてないってことを…」
「おとぎ話だから?」
「そう、おとぎ話だから」
訳が分からない…
俺は今から昔々の童話の世界に足を踏み入れるのか?
「昔からこの伊集院家に伝わるお話があって。
今でも、直系の伊集院家に生まれた女子はその話を信じているの」
もう日が沈み辺りは薄暗くなっていた。
冷たい夜風が肌を撫でる。
ただでさえストレスに弱い右京は、今の時点で萎えていた。
「幽霊に憑りつかれてるとか言わないでくれよ…」
すぐに首を横に振った律を見て、右京は少しだけホッとした。
「まだ幽霊の方が良かったかも…」