お告げの相手は誰ですか?



「右京さん、覚悟はいい? 行くよ」


律は怯えている右京の手を取って、門の中をくぐった。


「右京さんは何も言わないでいいから。
うちの家族が色々質問してきたら、最小限の事だけを答えて。
お告げだの何だの言い出したら、おとぎ話が始まったって思ってて」


右京は静かに頷いた。
これを乗り切れば律と結婚できる。
初めて自分がこうしたいと強く思ったことだ。
何が何でも負けるわけにはいかない。


「分かった。俺なりに頑張るよ」


その大きなお屋敷の大きな玄関は、律の指紋を認証して開いた。
右京は驚きそして感動した。


「ただいま~、右京さん、来たよ~」


重厚感溢れる廊下の先から亘が走ってきた。
右京は初めて律に弟がいる事を知った。


「初めまして、右京さん。
レーサーの片山右京と同じ名前ってめっちゃカッコいい。

姉やんと結婚するって?

それでは、悪魔の館へようこそ」


右京はかき集めた勇気のかけらが、また一瞬で粉々になっていくのが分かった。





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