お告げの相手は誰ですか?
右京は律のこの言葉で覚醒した。
俺は律をこんなに愛している…
だからここまで無理を覚悟で来たんだろ?
でも、やっぱり、できることなら律の家族に賛成してもらいたい。
それは叶わぬ願いなのか…
「僕は、仏様や神様、ましてやキリスト様とか全く信じてない人間です。
信仰心のかけらも持ち合わせていない人間です。
だから、お告げのうんぬんと言われてもピンとこないし、それのどこが大事なのかさえ分かりません。
僕が律さんと結婚したいという強い気持ちの方が、神様のお告げよりもはるかに価値があると思うんです。
こんなに強く深く人を愛した事はありません。
律さんに会ったその日から僕の魂は律さんを欲しがっています。
それこそが奇跡なんです」
右京は律の手を握りしめていた。
俺の奇跡を手離すわけにはいかない…
「右京さん、でも、もう手遅れなんです。
律はもうお告げの夢を見たんだから。
そこにはちゃんと相手だって現れたんですよ」