お告げの相手は誰ですか?
まだ朝の10時にもならない早い時間に、清花は律を社長室に呼んだ。
月曜の午前は右京はやる事が多くパソコンの前から離れない。
清花はその事を理解した上で、律だけを呼んだ。
「律さん、忙しいのにごめんね…
単刀直入に聞くわ。
昨日の事を教えてくれる?
右京から何も聞いてないの」
律はもうすっかり頭も気持ちも切り替わっていた。
「私達の結婚は認めないと言われました」
清花は律の顔から目を離さない。
「理由は?
…右京が何かやらかした?」
何だかんだ言っても右京は清花にとってのたった一人の弟だ。
右京が傷つくことは、姉の清花も一緒に傷ついてしまう。
「いえ…
右京さんは立派でした。
私の祖母に対しても堂々と話ができてましたし」
「じゃ、何が理由なの?
結婚を反対するわけは…」
律は清花にお告げの話をする勇気がまだ持てなかった。
でも、結婚の反対の理由はこれ以外は全くない。
右京がどういう人物であれ、お告げの相手でなければあの人達には何の意味もないから。