お告げの相手は誰ですか?



右京はパソコン越しに、社長室から出てきた律を見ていた。
どんよりと今にも大雨が降ってきそうな顔をしている。


清花に何か言われたか?
それか昨日の報告でまた現実を思い知らされたか…


右京も昨日の夜からずっと考えていた。
この先、自分達はどう進めばいいのかを。
律を諦める気はさらさらない。
でも、律の家族から律を取り上げてしまう気にもなれなかった。
二人が結婚をするということは、駆け落ちと一緒だ。

右京は毎日律の家へ通うことにした。
お告げの相手に何をしても敵わないとしても、熱意だけは伝わるだろう。

右京も、前途多難な日々を思いため息をついた。


「律、大丈夫?」


隣のデスクに腰かけた律に、右京は優しく聞いた。


「う、うん…」


律は右京の耳に入れるのは止めることにした。
気が優しい右京は、清花と貴子の対決を知ってしまったら卒倒するだろう。


事後報告にする。
そうでなきゃ、右京の心はストレスでパンクしてしまいそうだから。




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