お告げの相手は誰ですか?



清花は伊集院グループの会長室に通されていた。
相当豪華な部屋を想像していたのが、思いのほか質素で温かみのある伊集院貴子の人となりを思わせるような部屋だった。


「お待たせしました」


清花は初めて見る伊集院貴子に目を奪われた。
伊集院グループを取り仕切る女帝と言われる貴子だが、人懐っこい笑顔は律を彷彿させた。


「お忙しいところ、すみません。
阿部清花と申します。

今日は…」


清花が改まってそう言うと、貴子は微笑んでその言葉を遮った。


「私は阿部さんにお会いしたいとずっと思っていたんですよ。
女性の社長で成功させているというだけで、尊敬してるんです。

律とあなたの弟さんの話はやめましょう。
どれだけ話しても答えは同じだから…」


清花はだてにこの社長の地位まで上がってきたわけではない。
様々な人々とたくさんの商談を重ねてきた。
騙された人もいれば、清花の術中に見事にはめた人もいる。


そして、清花は瞬時に貴子の懐に入ろうと思った。



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