お告げの相手は誰ですか?
「だけど…?」
清花はまるで最後の望みの糸にすがるかのように、貴子に聞いた。
「律の場合は、不鮮明というか抽象的で…」
「でも、その人はうちの会社の田中君と聞きました」
貴子は静かに頷いた。
「律によれば、消去法でやったらその人だったと言ってました」
「消去法??」
清花は落ち着くようにと自分に言い聞かせた。
この新事実を聞き逃すわけにはいかない。
「律の夢はまずはそちらの会社の今年の入社式の場面だったそうです。
その入社式が行われている会議室から出てきたと言ってました。
背が高くてスーツが似合っていたのかな?
でも、顔も名前も分かる前に慌てて飛び起きたらしくて。
本人が言うには絶対お告げの夢だったって、不思議と見た本人は分かるものなんです」
貴子は気の毒そうな顔をして清花を見ている。
「それで、入社式に出てた背の高い男の子でその田中君だと気付いたというわけです」