お告げの相手は誰ですか?



「いえ、聞いてません…
今さら聞く必要があるんでしょうか…?」


貴子は清花を見て目配せをした。


「右京、4月3日の日は何してたっけ?」


清花は突然右京に質問をした。


「4月3日?
全然、覚えてない」



「思い出しなさい」


清花は貴子の前だったが、このいい加減な弟の態度を表情で叱責した。


「4月3日っていったらこの会社の入社式の日だっけ?」


泣いている律が反応した。


「清花に騙されて入社式に出る羽目になったんだ。

元秘書の鈴木さんが引継ぎがてら、俺が使う事になるパソコンの調子を見てほしいって。
で、俺は会社に行ったらあのデカい会議室に連れて行かれた」



「もちろんよね。
だって、あなたもある意味新入社員と一緒だもの」


律は右京の手を痛いほど握りしめている。


「そ、それで、右京さんは入社式に出たの?」


右京は律の血走った目と握りしめる手の力強さに、もう腰が引けている。


「10分だけ、居て帰った…」



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