お告げの相手は誰ですか?
律は、展開の早さに身も心もついていけなかった。
でも慎之介と話ができると思うだけで、律の心は浮かれていた。
きっと不思議な縁が二人を引きつけていると、夢のお告げに律はすっかり洗脳されていた。
お昼時間を終え律がデスクの前で待っていると、のっぽの慎之介が慌てた様子でやってきた。
「す、すみません、遅くなってしまって」
初出勤ということで慎之介の緊張度合がよく分かる。
「全然、大丈夫です。
私がちょっと早く来ただけですから」
律は声をうわずらせながら、でも必死に大人の女性を演じつつ笑顔でそう答えた。
そして、一つのデスクに二つの椅子を並べて座った。
「じゃ、まず、自己紹介をさせてもらいますね。
私は、伊集院律と言います。
今日まではこの係にいたんですが、明日からは秘書課の方へ行くことになりました」