お告げの相手は誰ですか?
「でも、二人ともあまり期待はしないでね。
まだ、そのお告げとかやらにも半信半疑だし、その人の事を本気で好きになるのかだってまだ分からないし…」
律はそう言いながら、自分が一番そのお告げに洗脳されている事に気づいている。
昨夜の貴子の言葉を思い出しながら、今日の飲み会といい、律は慎之介との縁を少なからず感じていた。
気分がいいせいで軽やかに机の上の片づけに取り組んでいると、清花と右京が社内の挨拶まわりを終えて帰ってきた。
「律さん、コーヒーを淹れてもらえる?」
清花はそう言って上着を脱ぎながら社長室へ入っていった。
右京はいつの間にか自分のデスクに腰かけている。
「右京さん、行かなくていいんですか?」
右京は大げさにため息をついて律を見た。
「俺は自分のペースを乱されるのが一番嫌いなんだ。
だから、こんな会社っていう集団生活には向いてない。
でも、ここに戻って来てホッとした。
律の顔を見たら、俺のオアシスがこの会社にあることに、心からマジでホッとしてる…」