お告げの相手は誰ですか?




「ママ…

多分、私、見ちゃった…」


律の母の恵美は朝食の準備をしていると、魂が抜けたような顔をして歩いてくる律を見て驚いた。


「何を?」


まだパジャマ姿の律は放心状態でテーブルの椅子にドサッと座り込む。


「あれに決まってるじゃない…

ママ達がいつも言ってるあの夢…」


恵美も手を止めて律の前に座り込んだ。


「まさか…
お告げの相手を見ちゃった??

やだ… 嘘…



それで名前は?
どんな人だった?」


恵美は、自分が初めて律の父の譲二を夢に見た時の事を思い出していた。
その時、恵美は譲二と、一、二回程しか顔を合わせていない程度の知り会いだった。
確かにその夢を見てから恵美の態度が変わったせいもあるだろう…
それから数日で、二人は結ばれた。
本当の意味で恋に落ちた。

そして、今でも仲良く現在に至っている。



「名前を聞く前に目覚めちゃった…」







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