お告げの相手は誰ですか?
会社の最寄りの駅に一つだけ居酒屋がある。
都心の郊外にあるこの駅は、規模でいえばとても小さな駅だ。
そのためひと昔前までは、飲食店とかは皆無だった。
“ALLmall”ができて二年後にこの居酒屋ができ、
“ALLmall”の人間は好んでこの居酒屋を利用した。
そして、慎之介と律の歓送迎会もこの居酒屋で行われることになっていた。
企画対策係は係長を入れて5人しかいない小さな係だ。
そのせいか、団結力はどの係にも負けていない。
今日も、律を含め6人全員が集合した。
律と慎之介は上座に二人並んで座らされた。
律は緊張している慎之介の顔をちょっとだけ見た。
やはり、新入社員はこうあるべきだ。
秘書課の坊やとは大違い。
右京だって、新入社員と何ら変わらないはずなのに。
律は右京の事を考えると、頭から湯気が出てきそうになる。
ダメよ、ダメ…
今夜はこの場を楽しまなくちゃ…
律は首を横に振って、頭の中から右京を追い出した。